日本銀行の金利政策が見直され始めている今、リスクの低い安全資産として、個人向け国債への関心も高まっています。
そんな中、「買ってはいけない」とか「やめとけ」という意見も聞かれます。
本記事では「今、買うべきかな?」「興味はあるけれど、デメリットも心配…」という方に向けて、個人向け国債のメリットとデメリットを解説します。
個人向け国債のメリット
安全性が高い
個人向け国債の最大のメリットは、何と言っても安全性の高さです。
国が発行しているので、リスクはかなり低い金融商品として知られています。銀行預金と比べても、国債は国の信用力に基づいているため、より安全性が高い金融商品ということができます。
元本割れしない
日本が破綻しない限り、元本割れがないため、リスクを極力抑えたい方に適しています。
株や投資信託のような日々の値動きがないので、精神的に安心して資産運用ができます。
少額から購入可能
個人向け国債は、額面1万円から購入可能です。
毎月募集しているので、月々少しずつ積み立てたり、余裕資金のあるときだけ購入したりと、自分に合ったタイミングで投資することができます。
定期的な利息収入
個人向け国債は、半年ごとに利子が支払われます。これにより定期的に安定した収入を得ることが可能です。
固定金利の国債は、銀行の定期預金と似た仕組みで、満期まで金利が変わりません。通常、金利は定期預金よりも高めです。
変動金利の国債は、利率が市場の金利に連動して半年毎に変わるため、将来的に金利が上昇した場合、固定金利よりも有利になる可能性があります。
また、どちらの国債も経済環境などで金利が下落したとしても、年率0.05%の最低金利が保証されています。
銀行預金などの元本割れがない商品の中では、国債は高い利回りの金融商品と言えます。ただし、銀行がキャンペーンなどを実施しているときは、銀行預金の金利の方が高い場合もあります。
中途換金が可能
個人向け国債は、発行後1年間は換金できませんが、それ以降はいつでも中途換金が可能です。
急に資金が必要になった場合にも対応できる柔軟性があります。
ただし、換金時には手数料が差し引かれるので、注意が必要です。
ペイオフ対策
銀行預金はペイオフ制度で保護される額に上限がありますが、個人向け国債にはそのような上限の制限がありません。
万が一、個人向け国債の口座を開設している金融機関が破綻した場合でも、国の責任によってその権利は保護されるため、元本や利子の支払いを受けられなくなることはありません。
ですので、まとまった額の大切な資産を守るための選択肢の一つとして考えられます。
ペイオフ制度とは、金融機関が破綻した場合に預金者を保護する制度です。保護される対象は、1金融機関につき1預金者あたり「元本1,000万円まで」とその「利息」です。(保護の対象は普通預金や定期預金で、外貨預金などは対象外です。)
個人向け国債のデメリット
利回りが低い
個人向け国債は安全性が高い分、利回りは低めに設定されています。
特にまだ金利が低い現在の日本では、個人向け国債の利子は、他の金融商品と比較すると少なくなります。
新NISAが使えない
個人向け国債は新NISAの対象外のため、利子の受取るときには税金が差し引かれます。
利子の受取り時には、20.315%の税金が差し引かれます。
インフレに弱い
個人向け国債のデメリットとして、インフレに弱い点があります。
インフレが進むと、現金や金利の低い金融商品で運用している資産の価値が、相対的に下がる可能性があります。
特に長期的な視点で資産運用を考えている場合、インフレリスクをどう捉えるかが重要です。
元本割れがないとはいえ、インフレ率を考慮すると実質的な資産価値が目減りする可能性があります。
換金の制限
発行から1年間が過ぎればいつでも中途換金できますが、最初の1年間は中途換金できません。
また、換金時には手数料がかかります。
購入後、急に資金が必要になった場合、すぐに現金化できない点には注意が必要です。
手数料として、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。
投資としての成長性が低い
個人向け国債はリスクを抑えたい人に向いていますが、その分、大きなリターンを期待することは難しいです。
株式投資や不動産投資のように、資産が大きく成長する可能性は低いため、高い利回りを求めて資産を増やしたい人には向いていません。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 投資はしたいけれど、年齢等の理由から、元本割れのリスクは避けたい人
- 安定志向で、銀行預金に代わる金融商品を探している人
- 将来使う予定がある資金を、元本割れしないで投資したい人
- 数年使う予定はないけれど、急に資金が必要になったときに、現金化しやすい投資先を探している人
向いていない人
- 高い利回りで大きなリターンを求めている人
- インフレ対策として投資をしたい人
- 1年以内に中途換金する可能性が高い人
- 新NISAを使って投資をしたい人
まとめ
個人向け国債のメリットとデメリットをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
個人向け国債は安全性が高く、リスクを抑えた資産運用をしたい人に適した金融商品です。
しかし、利回りが低いことやインフレに弱い点も、事前に知っておきたいポイントです。
特にこれからは「インフレ対策として、どのように投資をしていくか」を考えることが、とても重要になってきます。
個人向け国債以外の他の金融商品も検討も含め、新NISAなどを活用しながら、自分にとって最適な運用バランスで、無理のない資産形成をすることが大切です。
新NISAについて知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。
メリットとデメリットの両方をきちんと理解したうえで、自分の投資目的やライフスタイルに合わせて、上手に活用していきたいですね。
~最後までお読みいただき、ありがとうございました~