金(ゴールド)は、不況やインフレ時にも価値を保つ安全資産として人気があります。
長い歴史の中で価値が認められてきた資産です。そのため、資産運用に金を購入することを検討している人も多いのではないでしょうか?
本記事では、「どうやって金を買えばいいのかわからない」「初心者でも始められる方法はあるの?」と悩む方に向けて、初心者でも理解しやすく、安心して始められるように金の購入方法を解説します。
金を購入する5つの方法
主に金を購入する方法には、次の5つがあります。
- 金地金(インゴット)
- 金貨
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- 純金積立
それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
金地金(インゴット)を現物購入する
金地金とは、純金を塊状に加工したものです。いわゆる「金の延べ棒」のことです。
主に投資目的で購入されます。
価格は金相場に連動し、デザインはシンプルです。
金販売業者は、「田中貴金属工業」、「三菱マテリアル」、「石福金属興業」などが有名です。
インゴットとは、「金属の塊」という意味です。金属の塊なので、金以外のものに対しても使われます。プラチナや銀といった金属のインゴットも存在します。
メリット
- 純金そのものを所有できる:実物資産としての安心感があります。
- 長期保有に適している:インフレ対策や資産防衛に向いています。
デメリット
- 保管場所が必要:盗難のリスクを避けるため、自宅での保管には耐火金庫などの保管場所が必要です。もしくは、専門業者の保管サービスを利用することもできますが、費用がかかります。
- 手数料がかかる:一般的には500g未満の場合、購入時や売却時にバーチャージ(手数料)がかかります。
金地金というのは、主に500g~1kgの重量で流通しているため、500g未満の地金は再度加工が必要となります。その加工するための手数料を「バーチャージ」や「スモールバーチャージ」と呼びます。
こんな人におすすめ
- 実物の金を手に取りたい方
- 大きな資産を一度に購入して長期的に保有したい方
金貨を現物購入する
金貨は、金地金よりも小さい単位で購入できるため、初心者でも比較的手を出しやすい方法です。各国政府が発行する法定通貨で、有名な金貨にはカナダの「メープルリーフ金貨」やオーストラリアの「カンガルー金貨」などがあります。
投資目的だけではなく、収集の対象にもなります。
金相場に加えてデザインや希少性で価格が決まり、様々なデザインがあります。
金販売業者は、金地金と同じく「田中貴金属工業」、「三菱マテリアル」、「石福金属興業」などが有名です。
メリット
- 小額投資が可能:金地金に比べて手軽に購入できます。
- コレクション性がある:美しいデザインや希少性が魅力で、コレクター価値も期待できます。
- プレミアム価格がつくことも:デザインや発行年によって、市場価格以上の値段で取引される場合があります。
デメリット
- 保管が必要:金地金と同様に、盗難防止対策が必要です。
- 金地金より割高:金貨は小売価格にプレミアムが含まれるため、同じ重量なら金地金より割高になる傾向があります。
こんな人におすすめ
- 少額から始めたい方
- 実物資産を持ちながらコレクションも楽しみたい方
金の投資信託
金の投資信託は、金を主な投資対象とした投資信託で、証券会社や銀行で購入できます。
金の投資信託には、「金現物を保有するタイプ」と「金価格に連動する金融商品を活用するタイプ」があり、いずれかの方法で運用されています。
- 金現物を保有するタイプ
運用会社が金地金を直接購入し、その保有量に応じた基準価額を算出します。これにより、金価格の変動に基づいた運用成果が得られます。 - 金価格に連動する金融商品を活用するタイプ
金価格に連動するデリバティブや金先物などを利用して運用します。金価格との連動を目指します。
金の投資信託は、「三菱UFJ純金ファンド」、「ゴールド・ファンド(ヘッジなし/ヘッジあり)」、「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド」などが人気です。
ヘッジありとヘッジなしの違いは、為替リスクを取るか取らないかの違いです。ヘッジありは 為替リスクを回避したい場合に選ばれます。為替変動の影響を受けにくく、安定したリターンを期待できますが、ヘッジコストがかかります。ヘッジなしは為替リスクを受け入れる代わりに、為替の動きで利益を得られる可能性もあります。為替変動の影響を受けやすくリスクも伴いますが、コストは比較的低くなります。
メリット
- 手軽に取引できる:銀行や証券に口座を開設すれば、インターネットを通じて手軽に取引できます。
- 少額からの自動積立が可能:多くのネット証券で月々1,000円から自動積立が可能です。
- 専門知識が不要:専門家が運用するため、自分で金について詳しく調べる必要がありません。
- 保管不要:実物の金を保有しないため、保管や盗難の心配がありません。
- 新NISAが使える:新NISAの成長投資枠で購入できる商品があります。
デメリット
- 現物を所有できない:金そのものを手元に置くことはできません。
- 信託報酬がかかる:運用管理費用として発生します。年間コストは金ETFより高めになります。
こんな人におすすめ
- 現物保有にこだわらない方
- 少額から金投資を始めたい方
- 金価格の値動きに長期的に連動したい方
- 初心者や手軽に運用したい方
- 新NISAを活用したい方
金ETF(上場投資信託)
金ETFは、証券取引所に上場している投資信託の一種で、証券会社を通じて株式と同じように売買できます。
金の現物を保有せずに、金の価格に連動する投資をすることができます。
ETFには、国内ETFと海外ETFがあります。
国内ETFでは、「(1326)SPDRゴールド・シェア」、「(1328)NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信」、「(1540)純金上場信託(現物国内保管型)」などが人気です。
海外ETFでは、「(GLD)SPDRゴールド・シェア」、「(IAU)iシェアーズ・ゴールド・トラスト」、「(GLDM)SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト」なども有名です。
ETF(上場投資信託)は、株式市場で売買できる投資信託のことです。特定の指標(株価指数など)に連動するように運用されるのが一般的です。投資信託より手数料が安いことが多く、株のようにリアルタイムで取引できます。
メリット
- 手軽に取引可能:証券口座を開設すれば、インターネットを通じて取引できます。
- 少額投資が可能:1単位から購入できるため、金現物や金地金を購入する場合と比べて少額から始められます。
- 保管不要:実物の金を保有しないため、保管や盗難の心配がありません。
- 流動性が高い:市場でいつでも売買できるため、流動性が高いです。
- リアルタイムで売買可能:株式と同様にリアルタイムで売買することができます。
- 新NISAが使える:新NISAの成長投資枠で購入できる商品があります。
デメリット
- 現物を所有できない:金そのものを手元に置くことはできません。
- 信託報酬がかかる:運用管理費用として、年間コストが発生します。
こんな人におすすめ
- 現物保有にこだわらない方
- 短期的な取引や流動性を重視する方
- 価格変動を活用してリアルタイムで売買したい方
- 低コストで金投資をしたい方
- 新NISAを活用したい方
純金積立
純金積立は毎月一定額を積み立てて少しずつ純金(現物)を購入する方法で、金販売業者、証券会社、銀行などで取り扱いがあります。
金の保管方法には、特定保管と消費寄託があります。消費寄託が一般的です。
特定保管
- 所有権:契約者(顧客)に帰属します。運営会社は顧客から預かった金を専用金庫で保管し、顧客が返還を請求するまで責任を持ちます。
- リスク:運営会社が倒産した場合でも顧客の所有権が保持されるため、預けた金が戻らないリスクは低いです。
- 保管料:通常、保管料が発生しますが、その額は運営会社によって異なります。
- 引き出し:顧客はいつでも金を引き出すことが可能です。
消費寄託
- 所有権:購入した金の所有権は運営会社に移転します。運営会社は預かった金を自由に運用でき、顧客はその金の返還請求をいつでも行うことができます。
- リスク:運営会社が倒産した場合、顧客は預けた金を失うリスクがあります。
- 保管料:多くの場合、保管料は不要でコストを抑えられるメリットがあります。
- 引き出し:顧客はいつでも金を引き出すことができますが、所有権が運営会社にあるため、実際には運営会社から同等の金を返還される形になります。
金販売業者では「田中貴金属の純金積立」が長年の実績と信頼性から人気です。
低コストで始めたい人には、「SBI証券」「楽天証券」「マックス証券」などのネット証券に人気があります。
将来的に現物転換を考えている場合は、最低重量が業者やそれぞれの証券会社で異なりますので、事前に確認することをオススメします。
現物転換とは、積み立てなどで保有している資産(特に金などの貴金属)を、実際の物理的な形で引き出す手続きのことです。
メリット
- 少額から始められる:月々1,000円から始められるサービスも多く提供されており、予算に応じて無理なく購入できます。
- 価格変動リスクを分散できる:毎月一定額を購入することで、価格変動のリスクが平準化されます。
- 現物資産を保有できる:現物として保有することで安心感が得られます。
- 現物引き出しが可能:積立てた金は、金地金や金貨として引き出せるサービスもあります。
デメリット
- 手数料がかかる:購入時や保管時に一定の手数料がかかります。
- 現物引き出しにコストがかかる:金を現物で引き出す場合、加工費や手数料がかかることがあります。
- 即時売買には向かない:積み立て型なので、短期的な利益を狙うのには適していません。また、引き出すまでに時間がかかる場合があります。
こんな人におすすめ
- 長期的に資産形成を目指す方
- 少額からコツコツ金を買いたい方
金を購入する際の注意点
価格の変動
金は世界的な経済情勢やインフレ、金融市場などの影響を受けて価格が変動します。金は長期的には安定的な価値を持つとされますが、短期的には価格が上下することがあります。そのため、タイミングに注意し、無理のない投資額を決めることが重要です。
保管方法と安全性
金を購入する方法には、現物(金地金や金貨)や金ETF、金の投資信託などがあります。現物の金を購入した場合、保管場所を考える必要があります。金の保管には次のような選択肢があります:
- 銀行の貸金庫(安全性が高いが、手数料がかかる)
- 自宅保管(安全性が低く、盗難のリスクがある)
保管方法の選択は、金投資をするうえで非常に重要です。
取引手数料やコスト
金を購入する際には、取引手数料や販売価格が重要なポイントになります。特に金地金や金貨を購入する場合、金の市場価格に加えて、販売手数料が発生することがあります。これらのコストが購入価格に含まれるため、最終的に支払う金額が市場価格より高くなることがあります。
また、金の投資信託やETF、純金積立の場合も、信託報酬や手数料がかかることを考慮しましょう。
偽物や品質の確認
金を購入する際は、信頼できる業者から購入することが重要です。金地金や金貨の品質には「純度」があります。純金(24金)であれば、金の含有量が99.99%程度です。購入時に証明書が付いているかどうかも確認しましょう。
偽物の金や不純物の混ざった金を買わないためには、評判の良い業者や銀行など、信頼できる場所で購入することが重要です。
長期的な視点で投資するか
金は、株式や債券とは異なる特性を持つ資産です。短期的なリターンを狙うのではなく、長期的に価値を保護するための資産として購入することが多い資産です。金はインフレや金融不安などの時に価値が高くなることがありますが、株式市場が好調なときにはあまり値上がりしないこともあります。
短期的な利益を期待するよりも、資産保全として持つことを考えるのが一般的です。
複数の購入方法の比較
金の購入方法には、現物購入(金地金、金貨)や、投資信託、ETF、純金積立などがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の投資目的やライフスタイルに合った方法を選ぶことが重要です。
- 現物金: 実際に金を保有できるが、保管や手数料が必要
- 金ETFや投資信託: 手軽に金に投資できるが、物理的な金は保有しない
- 純金積立: 定期的に少額で金を積み立てることができる
売却時の注意
金は市場価格に基づいて売買されますが、購入時の価格と売却時の価格の差が生じることがあります。売却を前提に投資する場合は、買い取り条件を確認しておくと良いでしょう。
まとめ
金の購入方法には、ご紹介したような複数の選択肢があります。それぞれの特徴を理解して、自分のライフスタイルに合った方法を選びことが大切です。
金価格は変動するため、元本が保証されているわけではありませんが、不況やインフレ時にも価値を保つ安全資産として人気があります。
自分の目的や予算やリスク許容度に合わせて、最適な方法を選択して賢く資産運用していきたいですね。
~最後までお読みいただき、ありがとうございました~