個人向け国債は、安全性が高く、少額から始められる投資として注目を集めています。しかし、メリットだけでなくデメリットもあります。投資を検討する際にはその両面を理解することが重要です。この記事では、個人向け国債のメリットとデメリットを、詳しく解説していきます。投資の選択肢として考えている方は、ぜひ参考にしてください。
個人向け国債とは?
個人向け国債は、個人投資家向けに国が発行する債券です。国債を購入することで、政府にお金を貸す形になり、その見返りとして利息を受け取ります。日本政府が発行しているため、安全性の高い金融商品として知られています。これは、政府が破綻しない限り元本割れがなく、最低金利も保証されるためです。
「変動金利型10年満期」「固定金利型5年満期」「固定金利型3年満期」の3種類があり、銀行や証券会社、郵便局などの金融機関で購入することができます。
個人向け国債の特徴と共通ポイント
変動金利型10年満期
- 最もポピュラーな個人向け国債で、長期の運用が可能です。
- 金利は半年ごとに見直されるため、金利上昇局面では利回りが上がる可能性があります。
- 変動金利でも、最低金利(年0.05%)が保証されているので、金利低下時のリスクも限定的です。
- 長期的な資産形成を考えている方や、金利上昇を期待する方に適しています。長期間にわたり使う予定のない資金の一部を、安全に運用したい場合などが考えられます。
固定金利型5年満期
- 中期的な運用が可能です。
- 固定金利は市場金利の影響を受けないため、リスクは少ないですが、金利が低いときに購入すると後々の上昇機会を逃す可能性もあります。
- 金利が固定されているので、安定した利子収入が得られます。
- 3年満期よりも若干高い金利が期待できます。
- 5年後に使う予定のある資金を、安全に運用したい場合に適しています。
固定金利型3年満期
- 短期的な運用が可能です。
- 3年という短期間のため、他の5年や10年の国債に比べて、金利が低い傾向があります。しかし短期で資金を運用したい場合には有効です。
- 金利が固定されているので、将来の利子収入が予測しやすいです。
- 3年後に使う予定のある資金を、安全に運用したい場合に適しています。
共通のポイント
- 発行月: 毎月発行されています。(年12回)
- 最低購入額: 1万円から1万円単位で購入可能です。
- 最低金利保証: 年0.05%が保証されています。
- 利子受取り: 半年毎に年2回利子が支払われます。(利子の受取時に20.315%分の税金が差し引かれます。)
- 中途換金: 発行後1年間は換金できませんが、2年目以降はいつでも1万円単位で換金が可能です。ただし換金時には手数料として、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。
個人向け国債のメリット
安全性が高い
個人向け国債の最大のメリットは、何と言っても安全性の高さです。日本国が発行しているため、デフォルトのリスクは低いと言えます。元本割れがないため、リスクを極力抑えたい方に適しています。銀行預金と比べても、国債は国の信用力に基づいているため、より安全性が高い金融商品として知られています。
定期的な利息収入
個人向け国債は、半年ごとに利子が支払われます。これにより、定期的に安定した収入を得ることが可能です。これは、銀行の定期預金と似た仕組みですが、変動金利の国債の場合、利率が市場金利に連動して変動するため、将来的に金利が上昇した場合は、有利になる可能性もあります。
中途換金が可能
個人向け国債は、発行後1年間は換金できませんが、それ以降であれば、いつでも中途換金が可能です。急に資金が必要になった場合にも、対応できる柔軟性があります。ただし換金時には手数料が差し引かれるため、換金時期には注意が必要です。
ペイオフ対策
銀行預金は、ペイオフ制度により保護される額に上限(ペイオフの対象は「元本1,000万円まで」とその「利息」です。)がありますが、個人向け国債にはそのような制限がありません。大切な資産を守るための選択肢の一つとして考えられます。
個人向け国債のデメリット
利回りが低い
個人向け国債は、安全性が高い分、利回りが低めに設定されています。特にまだ金利が低い現在の日本では、個人向け国債の利息は、他の投資商品と比較すると少なくなります。
新NISAが使えない
個人向け国債は対象外のため、新NISAで購入することはできません。
インフレに弱い
個人向け国債のデメリットとして、インフレに弱い点があります。インフレが進むと現金や固定金利で運用している資産の価値が、相対的に下がる可能性があります。特に長期的な視点で資産運用を考えている場合、インフレリスクをどう捉えるかが重要です。元本割れがないとはいえ、インフレ率を考慮すると実質的な資産価値が目減りする可能性があります。
換金の制限
換金は、発行から1年間が過ぎればいつでも中途換金できますが、最初の1年間は中途換金できません。また、1年経過後も換金時には手数料がかかります。急に資金が必要になった場合、すぐに現金化できない点に注意が必要です。
投資としての成長性が低い
個人向け国債は、リスクを抑えたい人に向いていますが、その分、大きなリターンを期待することは難しいです。株式投資や不動産投資のように、資産が大きく成長する可能性は低いため、資産を増やしたい方には、少し物足りないかもしれません。
どんな人に向いている?
個人向け国債は、安定した資産運用を目指す人や、元本割れしないことを重視する人に向いています。特にリスクを避けたい人や、長期的に安心して資産を運用したいと考えている人に向いており、リスクを抑えながら、定期的な利子収入を得たい人には魅力的な商品といえます。
まとめ
個人向け国債のメリットとデメリット、いかがでしたでしょうか。
個人向け国債は、安全性が高く、リスクを抑えた運用をしたい人にはオススメの金融商品です。しかし、利回りが低いことや、インフレに弱い点があることも、事前に知っておきたい重要なポイントです。メリットとデメリットの両方をきちんと理解したうえで、自分の投資目的やライフスタイルに合わせて、上手に活用することが大切です。
投資商品は、個人向け国債以外にもたくさんあります。ですので、他の投資商品と比較しながら自分にとって最適な運用方法を見つけ、無理のない範囲で資産形成をしていけたらいいですね。
~最後までお読みいただき、ありがとうございました~
財務省 個人向け国債 公式サイト